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ギタリストが選ぶオススメのクラシックギター楽曲10選

クラシックギターは弦の特徴から優しい音色が特徴の楽器です。
「クラシック」と名がついていますが、クラシックだけではなく、ジャズ、ボサノバ、フラメンコ、タンゴ、カントリー、ポップスといった幅広いジャンルで使用されています。
今回はクラシックギターが引き立つ楽曲を紹介していきます!

クラシックギターとは

クラシックギターはもともとクラシック音楽を演奏するために作られた楽器です。
14世紀にはその原型が完成されており、初期は動物の腸を乾燥させた「ガット」という弦が貼られていたために「ガットギター」とも呼ばれます。

現代においては、「ナイロン」や「フロロカーボン」といった素材の弦が使用されてます。
クラシックギターはクラシックの楽曲を演奏するのはもちろん、ポップスをソロギターアレンジして演奏することも多いです。
また、歌の伴奏でも使用されます。特に「ボサノバ」では歌の伴奏としてクラシックギターが使用されることが多いです。

クラシックギターの良さ

アコースティックギターやエレキギターが鉄弦を使用しているのに対し、クラシックギターはナイロン弦を使用してますので、やわらかい音が特徴です。優しい表現をしたいときに使われる印象があります。

弦がやわらかいので押弦もしやすいです。
また対照的にフラメンコで使用される場合は激しい演奏をすることが多いです。
右手でやわらかい弦をラスゲアードという奏法で激しくかき鳴らすのはとてもかっこ良いですね。

ギタリストが選ぶギターに注目したいオススメのクラシックギター楽曲10選

今回はクラシックギターでよく演奏される楽曲を10曲ピックアップしました。
クラシックに限らずいろんなジャンルの音楽を紹介していきます。
時には優しく、時には情熱的なクラシックギターの世界に浸ってください!

01.禁じられた遊び

禁じられた遊び(Spotify)

禁じられた遊び(Apple Music)

19世紀後半にギター練習用に作られたものと考えられており、それをナルシソ・イエペスが編曲したものになります。

作曲者は諸説ありますが、アントニオ・ルビーラが有力となっています。
「禁じられた遊び」という映画で使用されて有名になりました。「愛のロマンス」や「エチュード」などと呼ばれることもありますが、一般的には「禁じられた遊び」として認識されている印象があります。クラシックギターの楽曲では最も有名な曲ではないでしょうか。

この曲は一番低い音のEを使っているので、ギターの開放弦を活かして、ギターの特性を活かせている楽曲です。前半部分は押さえるポディションが少ないためギター初心者でも弾きやすい曲になってます。

演奏している時は、短調から長調に移り変わるところが楽しいです。雰囲気が一気に変わるところが好きです。
短調の部分も好きだけど、長調のメロディーは短調があったおかげでより映えるような気がします。
短調のパートは2回あるので、短調をサラッと弾いて、長調を感情込めて弾くようにしてます。この考え方は逆の人もいますね。

クラシックギター界のポップスといった曲で、多くのギタリストが演奏しているので、人それぞれの表現をみるのも楽しいですね!

02.アルハンブラ宮殿の思い出

アルハンブラ宮殿の思い出(Spotify)

アルハンブラ宮殿の思い出(Apple Music)

1896年にスペインのギタリスト、フランシスコ・タレガが作曲した楽曲です。

「アルハンブラ」とは「赤い城塞」を意味するアラビア語がスペイン語化したものです。
初めて中学生の時に聞きました。何回も聞いていくうちに味わいがわかるようになってきました。
最初は暗い曲だなと思ったけど、聞いていくうちに長調に変わるポイントなど美しいと思うようになってきました。雲の間から太陽が見えてパッと明るくなるような印象がありますね。

この曲は短調から長調に移り変わるところが美しくて良いですね。短調から長調にシームレスに移行していくのですが、その部分がとても好きです!

あとは、トレモロ奏法が美しいですね。ギターの音は減衰音と言われていて、音が消えていってしまうのですが、それを補うために連続的に音を出して演奏します。その奏法を「トレモロ奏法」と呼びます。
クラシックギターの中では、トレモロ奏法が一番美しい奏法と言われています。
演奏している時に気をつけていることは、2弦でのトレモロですが、1弦に指を引っ掛けてミストーンを出さないようにしてます。
トレモロの部分と8分音符でのアルペジオを演奏者が耳で聴き分けられると、聴いている方にこの曲の良さをしっかり伝えられます。

クラシックギターの特徴的な奏法のトレモロ奏法が入っているので、弾きたい人の多い人気曲になってます!

03.ラグリマ

ラグリマ(Spotify)

ラグリマ(Apple Music)

スペインのギタリスト、フランシスコ・タレガが作曲した楽曲です。

初心者でも弾きやすくて優しい曲です。
最初の長調の部分のメロディーが好きです。

ラグリマは「涙」という意味で、尊くて涙を流しているような雰囲気があります。
家族愛を感じられるような人間の根源的な優しさを表現した曲だと感じました。

この曲は綺麗で弾きやすくておすすめです!
この曲に限らない話ですが、自分がきれいだなと思った曲を弾けているのが楽しいですよね。
初心者の方は最初の長調の部分だけを弾くというのをおすすめしてます!
その部分だけでも十分楽しめる曲になってます。

演奏する時にはスライドの瞬間に「キュッ」と音が鳴らないように気をつけてます。
2部形式なので、1部と2部の差異を感じてもらえるように、コントラストをしっかりと出して演奏してます。

ゆっくり弾いている印象が強いこの曲ですが、スペイン本国では速く弾く方もいるそうです!

04. アストゥリアス

アストゥリアス(Spotify)

アストゥリアス(Apple Music)

1886年にイサーク・アルベニスというピアニストが作曲した、「スペイン組曲」の中の1曲で、順番としては5曲目にあたります。

この曲はレジェンダとも呼ばれたりします。伝説という意味ですね。

アストゥリアスはスペインのイベリア半島の北部の地名です。
スペインの楽曲は地方の名前がついていたり、踊りの名前がついているので、よりその地方の特色を感じられます。曲の中でスペインを感じるのが良いです。
その地方を調べて、画像や映像を観ながら聴くのも良いですね!

曲の印象としては情熱的なイメージがあります。
ラスゲアード奏法を使っているので、激しいイメージがあります。
ラスゲアード奏法とは右手で弦を激しくかき鳴らす奏法です。スパニッシュギターのジャンルでよく使われます。
6本の弦を一気にかき鳴らすのは迫力がありますね。
途中までは洞窟の奥から聴こえてくるようなイメージですが、ラスゲアードが入った瞬間に何かを予感させるような展開に入っていきます。

速いパッセージが多く、中上級者向けです。
難しいところを弾けた時の達成感はとてもあります!

最初のところの疾走感がありつつも鬱々としている感じが好きです。

05. El Noi de la Mare(聖母の御子)

El Noi de la Mare(聖母の御子)(Spotify)

El Noi de la Mare(聖母の御子)(Apple Music)

カタロニア地方の民謡をミゲル・リョベートが編曲した曲で、クリスマスでよく聞かれる曲です。

美しいメロディーで癒されます。

この楽曲はドロップDチューニングで演奏されています。
ドロップDチューニングをすることで開放弦を使えるようになります。開放弦を使うことで、幅広い音域で演奏でき、表現が豊かになります。
そういったギターの特性を活かして、演奏するためにチューニングを変えるということもよくあります!

途中のオーギュメントのところが特に綺麗ですね!
オーギュメントはコードの種類の一つで、感情を揺さぶるような響きがあります。
曲中にちょっと入れるだけで雰囲気が一気に変わります。
そこが、特にクリスマス感を演出していますね。

6/8の曲なので、ゆったりと踊る感じで弾くと良いと思います。
メロディーがハモりながら動いているところが難しいポイントです。

しっかり音を残さないとハモることができないので、各音、しっかり音が残るように演奏しています。

06.大聖堂

大聖堂(Spotify)

大聖堂(Apple Music)

南米パラグアイのギタリスト、アグスティン・バリオスという人の曲です。

バリオスはバッハを模倣した作曲法を用いた曲と、出身地である南米の特徴を表現した土着的な雰囲気の曲がありますが、この曲はどちらかというとバッハ的な技法を取り入れた曲です。

3楽章形式で、1楽章と2楽章は敬虔な雰囲気の曲です。3楽章目は激しく、冬に教会から足早に帰っていく風景を描写しています。
演奏していると厳かな気分になります。

演奏する前にしっかりアナリーゼをして、作り込んで演奏します。
いろんな人の演奏も聴いて参考にしながら、自分らしい演奏に仕上げていきます!

1楽章と2楽章は3楽章に続くための布石があるので、曲のストーリーを感じながら弾くのが楽しいですね!
3楽章それぞれのキャラクターが違うので、自分でどうやって表現するのかを決めてから演奏しています。

3楽章の指の動きが速く休みがないので、最初はゆっくり練習すると良いです。
左手と右手の動きがリンクしてきたら徐々にテンポを上げていきましょう。

また、基礎練習をしっかり行って、指が動くようになってから練習を始めると良いと思います!

クラシックの曲として完成されており、クラシックギターらしさを感じられる曲ですね!

07. タンゴ・アン・スカイ

タンゴ・アン・スカイ(Spotify)

タンゴ・アン・スカイ(Apple Music)

ローランド・ディアンスの作曲で、1985年に発表されています。

タンゴ調の楽曲ですが、タイトルは「偽物のタンゴ」という意味になってます。
ローランド・ディアンスはタンゴの本場アルゼンチンの出身ではないけども、タンゴをやっているといったものです。「偽物のタンゴだけどな」と自分を嘲笑っている意味だと思います。
僕たちが演歌に似せたロックを弾くようなイメージです。演歌ってよく聞くと構成や使っている楽器がロックと同じなんです。

この曲はアップテンポでタンゴっぽさがあり、リズミカルで楽しいです。
特に右手の動きがダンスしている感じで楽しいですね。
弾いていてテンションがあがります!

短くて元気の良い曲だから、アンコールで弾かれることが多い楽曲です。
締めの曲として最適ですね!

連符でディミニッシュが出てくるところがあり、そこが速くてかっこ良いです。
ディミニッシュは全音半ずつ積み重なっている和音で、不思議な感じの響きがあります。また、使い方によっては情熱的にも聴こえます。
このディミニッシュがあることで、タンゴらしさが演出されてますね!

この曲は自分の個性が出せる曲ですね!

08.サンバースト

サンバースト(Spotify)

サンバースト(Apple Music)

アンドリュー・ヨークの作曲で1986年に発表されています。

こちらはポップミュージックですね。クラシックギターの曲を聞かせてと言われたらこれをおすすめします!
明け方に太陽が差してきていて、これから1日を始めるぞという元気な印象があります。明るくて良い曲ですね。

この曲は変則チューニングで演奏されています。
変速チューニングだと、レギュラーチューニングとは違う動きが出てきたりして楽しいです。変則チューニングはチューニングが狂いやすいので、演奏前に弦を伸ばしたりして、チューニングを安定させてから弾いてます。

中盤のベースが16分音符になる前が、他のギター曲にはみられない演奏構成となっていて、ギターらしくない雰囲気があって好きです。これは変則チューニングで演奏されていることが理由ですね!

一般的には前奏が無いバージョンの方が知られていますが、実は前奏があるバージョンもあります。
前奏があることより、本編に引き込まれる感じがして、僕は好きです。

初心者でも弾きやすい曲になってますので、ぜひ挑戦していただきたいです。

テンションが上がって速く弾きがちなので、最初からアクセルを踏みすぎないように気をつけています。

09.11月のある日

11月のある日(Spotify)

11月のある日(Apple Music)

1970年代初期にレオブローウェルが作曲した曲です。

これは僕がクラシックギターで初めて知った曲です。だいたい小学生の頃ですね。
初めて聴いたとき、ちょっと切ない曲だなと思うのと同時に、良い曲だなと思いました。
ノスタルジーを感じる曲です。即興で作った曲ときいたことがあるので、「11月のある日に」作った曲なのかもしれません。
または「11月のある日」を思い出す、過去の記憶を表現したようにも感じます。
こういった曲はそれぞれの解釈で弾くのも楽しいですね。

弾いていて楽しいポイントは後半の方です。
曲の雰囲気が変わって、ジェットコースターみたいな雰囲気があり、緩急があって楽しいです。
1曲の中でいろんな展開があって楽しいですね。

2部形式なのでコントラストをしっかり引き分けるように演奏しています。
後半の方はテンポが速く、アルペジオの中にメロディーがあるので、アルペジオとメロディーをしっかり弾き分けるように演奏してます。これは強弱で弾き分けます。

事前に楽譜でメロディーと伴奏の部分を確認してから弾くようにすると理解が深まって良いです。

10. カバティーナ

カバティーナ(Spotify)

カバティーナ(Apple Music)

カバティーナはスタンリー・マイヤーズ作曲で、1978年に公開された「ディアハンター」という映画の主題歌となってます。

陰鬱で長い、映画好きの人がみるような映画ですが、この曲が映画を良くしているイメージです。
メロディーがキャッチーでクラシックギターでも1位2位を争うくらい人気の曲です。
実際に僕のレッスンでも、この曲を演奏したいという生徒さんは多いです。

クラシックの中でも最近の曲で、ポップスよりの構成になっていて、耳馴染みが良い曲ですよね。
イージーリスニング風で、優しい雰囲気の曲なので、弾いていて癒されますね。

この曲はとても難しい曲です。
セーハした状態で伴奏もメロディーも弾かなくてはならないので、難しいです。
楽譜をみて和音がどこで、メロディーがどこなのか、どういう構造なのか確認して演奏することが大事です。
少しずつしっかり確認しながら攻略していくと良いです。
演奏する時は常に8分音符で伴奏している上で、メロディーをしっかり弾くようにしてます。8分音符をしっかり捉えることが重要になってきます。

Esus4からEに解決する部分が救われた感じがして、美しくて好きです。
アーメン終止のように聴こえて、尊い感じがしますね!

まとめ

今回紹介した楽曲の他にバリオスの「演奏会用練習曲」やバリオスの「メヌエット」、ラウロの「ベネズエラ風ワルツ1番」などクラシックギターで演奏される良い曲がたくさんあります。

今回紹介した曲は歴史を感じる楽曲がたくさんあり、ギターの奥深さを感じますね。
また、クラシックギターはハードルが高いように思えますが、いろんなジャンルで弾かれていて、意外と身近な存在です。
普段はアコースティックギターで弾いている楽曲をクラシックギターで弾いてみるのも面白いですね!
表現力豊かなクラシックギターで、自分なりの表現方法を見つけてください!

クラシックギター弾いてみたいけど、初めはどう練習したら良いかわからないですよね。
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クラシックギターは格式高いイメージがあったりして、始めようと思っても始められないという声をよく聞きます。
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普段聞き馴染みない方も是非クラシックギターの名曲達に触れてみてください!
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